木の哲人講座~造作材~ 主な造作材を紹介します(4)

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階段(かいだん)

階段とは、床の高さが異なるところをつなぐ段形の通路です。踏み板(段板)、蹴込み、桁(側板)で構成されます。構造別では側桁階段、力桁階段、片持ち階段、吊り階段、螺旋階段、鉄筋コンクリート階段などがあり、形状別では直進階段、矩折れ階段、折り返し階段、回り階段、螺旋階段などがあります。木製階段(箱型、ストリップ型)が多いですが、金属製階段もあります。鉄骨系でも住宅の階段踏み面は木製が主体ですが、金属製、強化ガラス製、FRP製もあります。

階高を等間隔に割り付けることを階段割りといいます。「蹴上げ」はその一段の寸法(高さ)を指します。「踏み面」は、階段の足をのせる水平面(奥行)を指し、足がかかる先端を段鼻といい、摩耗性の高い部材が使われます。住宅内の事故で多いのが階段からの転落といわれ、建築基準法施行令23条で、住宅は蹴上げ23㌢以下、踏み面15㌢以上、階段幅75㌢以上とされ、手摺りの設置も義務付けられています。
木製の踏み面板材は無垢、集成材が用いられ、オーク、アッシュ、タモをはじめとした温帯産広葉樹を無垢、幅ハギ使いするもの、広葉樹突板で表面仕上げしたものなど、また桧や杉をはじめとした国産材針葉樹の無垢材、幅ハギ材を使用することがあります。階段は立体的な現し部材であり、通路として目につきやすいこともあり、すっきり見せることが重要です。また、階段下は収納スペースとして活用されます。階段部位も建材メーカーの総合商品が多数出ております。

クボデラでは、無垢の木材の手触りを生かし、温帯産広葉樹を原材料とした階段部材を多数ご用意しております。


[上は学校施設の木製階段、下は住宅の金属製螺旋階段]

天井(てんじょう)

天井は室内空間の上部を構成する部位の総称で、床組や小屋組を隠すために張ります。伝統的な構法では特徴ある木材の木目を生かした天井が一般的で、格天井、竿縁天井、目透かし天井、打上げ天井をはじめ、居室の大きさ、格式、用途などで実に多くの種類がありました。天井を吊る仕掛け、天井板を密着させる仕掛けも様々に編み出されてきました。秋田の製材産地は、国有林から供給される天然秋田杉大径木を原材料に、天井板を量産し、一世を風靡してきました。天然秋田杉丸太の伐採がほとんどなくなり、天然秋田杉天井板製造事業所も激減していますが、昔の逸品を拝見すると見事な加工技術に驚かされます。天井板、竿縁、格縁、吊木、回り縁、天井長押などの造作材とともに構成されます。

*格天井(ごうてんじょう)

格式を尊ぶ部屋に用いる天井形式の一つで、2~2.5寸(6~7.5㌢)角の格縁(ごうぶち)と呼ばれる部材で格子をつくり格子の間(格間、ごうま)に正方形の板を張った天井です。

*板天井(いたてんじょう)

柾目、中杢、板目などの化粧板を張った天井です。現在は無垢材を用いることが少なくなっており、突板などで加工された天井用化粧合板などが用いられます。

*網代天井(あじろてんじょう)

枌板(へぎいた=杉などを薄くはいだ板の一種、木の繊維を切断しないで引き裂く方法でつくられる)や竹皮を斜め、または縦横に編んだ網代を天井の下地材に取り付けたもので、数寄屋や茶室に用いられることが多いです。網代の組み方は、矢羽編み、籠目編み、石畳編み、市松編みなどがあります。

*竿縁(さおぶち)

格天井などの格子に用いる部材です。竿縁の方向は床の間に対し直角に向かってはいけないとされます。

住宅の天井材は、乾式、湿式の二つに大別されます。主な乾式天井材は、クロス(ビニール・紙・織物)、木質系(無垢材・合板・繊維板)、無機質系(ロックウール板・石膏ボード)などです。
主な湿式天井材は、漆喰、珪藻土、モルタルなど塗装や左官仕上げを用いたものです。天井の形状に合わせ継ぎ目のない仕上げが可能です。居室内のトータルコーディネートが重視されるようになり、床、壁面とともに天井面の意匠を大切にするようになっています。


[美しい木目が見事な天然秋田杉の無垢天井板]

[天井板を設けず小屋組を現しで建築、壁は土壁漆喰仕上げ]

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